楽土の幻

2014年に史文庫~ふひとふみくら~の唐橋史さん主催で発行された『日本史C』というアンソロジーがあったのですが、そちらに寄稿した小説です。Web再録的な感じでこちらに格納します。

~登場人物と少しの補足~
中臣鎌子……中臣鎌足のこと。作中で改名しています。彼が鹿島の神官の子であるというのは『大鏡』などに見える伝説です。

軽皇子……後の孝徳天皇。中大兄皇子の叔父に当たります。

中臣真人……鎌足の長男。出家して定慧と名乗ります。今作では、彼が上宮王家(聖徳太子の一族)の生き残り、弓削王であるというフィクションを展開してます。彼の

出家と渡唐については、その年齢も併せて謎が多いです。

中臣史……後の藤原不比等。彼が中大兄皇子とその同母妹の間人皇女の子であるという設定はフィクションですが、藤原不比等は中大兄皇子の落胤ではないかという伝説は様々な史料に登場します。

伝説に基づいたフィクション多めの小説ですが、お楽しみ頂ければ幸いです。

 

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『そらごと申す大納言』読みました!

唐橋史『そらごと申す大納言』(Amazonページへリンク)

唐橋さんの新刊『そらごと申す大納言』を読みました。表題作の他に『雲を追う少年』という作品が収録されています。どちらも平安時代が舞台(後者はややそこからはみ出しますが)の短編です。前者は壮大でありつつもメルヘンで可愛らしい少女と祖父との物語、後者は苦しい時代の現実にそれぞれ立ち向かう少年達の物語……というところでしょうか。
余り言うとネタバレになってしまうのですが、あのね!もうね!さいこーなんですよ!!!(ボキャ貧)以下さいこー!な理由をつらつらと書きます。一応ストーリー上のネタバレは回避してます……が、キャラの事はあれこれ書いているので気になる方は読まない方が良いかもです。

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