最期の言葉

 以前、このブログにこの記事と同タイトルの「最期の言葉」という記事を書きました。CLAMP『X』の16巻において、星史郎が発した最期の言葉とはどのようなものかを論じた記事です。

 前回の「『賭』の勝敗」の記事と同様、こちらも以前の記事は非常に舌足らずで分かりにくい書き方になっていました。 今回、論旨はそのままに全面改稿したものをここにアップします。
前回の「『賭』の勝敗」の記事を踏まえた内容になっていますので、そちらをお読みの上でこちらにも目を通して頂ければと思います。

 2024年夏頃には、この記事と前回の記事、それから他の文章をいくつか併せて、CLAMP作品批評同人誌として本の形にできたらと思っています。Blueskyやこちらでもアナウンスする予定ですので、ご興味のある方は是非に。

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「賭」の勝敗 

  以前、このブログに「賭けの勝敗」という記事を投稿しました。CLAMP『東京BABYLON』と『X』で語られる星史郎と昴流の物語について、一読して分かりにくい部分を説明した記事……の筈だったのですが、読み直してみると上述の記事自体が分かりにくく、説明の足りない文章になっていましたので、ここに全面的に改稿したものを投稿します。

 もしお手元に『東京BABYLON』や『X』があるようでしたら、軽くで構いませんので、是非一度再読した上で本稿をお読み頂けたらと思います。
 お手元にない方に向けて、簡単に第一節で物語のあらましを書きました。不足の多い説明だとは思いますが、こちらをお読みになった上で記事の続きを読めば、何となく話にはついていけるかと思います。

 なお2024年夏頃には、この記事と、これの続きでもある「最期の言葉」、その他いくつかの文章を書き下ろして、CLAMP作品批評同人誌として本の形にできたらと思っています。Blueskyやこちらでもアナウンスする予定ですので、ご興味のある方は是非に。

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感想を書いて頂きました&今更の通販のお知らせ

かねてからTwitterで交流のあった棋客さんが、拙作『夕炎の人』の感想を書いて下さいました。ありがとうございます!

何だか……作者である私の何倍も丁寧かつ的確に、あらすじとエッセンスをまとめて下さっている気がします……。ありがたいことです。
言い訳のようですが、私は自分の書いた小説のあらすじやエッセンスを説明するのが苦手です。「……というつもりで書いたのだけど、読者は私の『つもり』とは全く別の受け取り方をするかもしれないし」などの考えがよぎるからです。書き手の想定とか心づもりというものと、テキストが読者に訴えるものとは同一ではないので、その間でいつも私は説明に迷ってまごまごしてしまいます。

こうして私の作品を丁寧に読んで下さって、しかもあらすじやエッセンスを丁寧に追いかける形で感想を書いて頂けるというのは、「私の書いた文章ってこういう風に他者に伝わったんだな」という手応えというか、安心感というか、納得感というか……何かそういうものが感じられて、とても嬉しいですね。ちゃんと連帯と抵抗の物語として読めるテクストになってたんだなあ、とか。本当に嬉しいです、ありがとうございます!

でね、気付いてしまったんですよ……私はもしかして、同人誌通販のお知らせをこのWordPressに上げていないのではないかって……。
ということで、サークル星槎渡河の同人誌はpictSPACEか、アリスブックスさんで取り扱っています。以下のような違いがありますので、各自でご判断の上注文をお願い致します。

・日本国内への発送であれば、pictSPACE(自家通販)の方が割安です。
・日本国外への発送の場合はアリスブックスさんの方が割安かつ簡単です。
・既刊『喩え話』は残部僅少につきpictSPACEのみでの取り扱いです。
・自家通販に利用しているpictSPACEを提供している株式会社GMWは、今年の8月にpictSQUAREという別のプラットフォームで個人情報を大量流出させた会社です。その後の対応はしっかりしていたと個人的には思っているので現在でもpictSPACEを利用していますが、気になる方もいるであろう情報なので明記しておきます。

よろしくお願いします。

『夕炎の人』落ち穂拾い

11/11の文学フリマ東京37、お疲れ様でした&ありがとうございました。
久しぶりの即売会参加でドキドキもしていたのですが、おかげさまでつつがなく終えることができました。

当日、スペースに来て下さった皆様ありがとうございました。周囲のサークルさんと比べて「どんな小説書いているかちょっと良く分からんな」って感じのところなのに(これは卑下ではなくて実際にそうなんですよ……)、立ち止まってくださる方がちらほらといるというのは嬉しいものです。
差し入れを下さった方もありがとうございました。美味しくもぐもぐしております。

さて、『夕炎の人』というやっぱりまた良く分からない本を作って刷ってしまいました。一言で「こういう小説です!」と言えないものばかりを作っている気がします。
ちょっと落ち穂拾い的なことを書いておくのも良いかしらと思ったので、ここにまとめました。要するに作者の力量不足の言い訳ですね。言い訳するのは格好悪いことなのだけれど、言い訳しないと本人も忘れていくので、言い訳をするだけした方が良いかもしれないなあ、なんて思ったので書いてみます。

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文フリ新刊『夕炎の人』サンプル

こんにちは、ほしなみです。
突然ですが、11月11日(土)に開催される文学フリマ東京37に出店します!久しぶりの即売会参加です。
スペースはき-13「星槎渡河」です。この記事で冒頭を載せている新刊『夕炎の人』の他、既刊三種を用意してお待ちしています(既刊サンプルはこちら)。

『星槎渡河』発行の同人誌の他、来年発行予定の「宇月原晴明デビュー二十五周年記念本」のフライヤーを持って行きます!美麗イラストを使った素敵なフライヤーですので、宇月原作品がお好きな方、興味ある方、是非是非お立ち寄りください。
なお、この記念本には私も寄稿させていただきました。豪華で素敵な本になる予定ですので、来年を楽しみにしていて下さい!

2023年11月11日の文学フリマ東京で発売予定の、同人誌『夕炎の人』の書影。水彩画風の真っ赤な夕焼けのイラストの右上に、縦書きで書題が書かれている。『夕炎の人』・文庫版・352ページ・800円

〈あらすじ〉
領主の屋敷の庭師であるセッケムは、最近あることに悩んでいる。父親が「声の男」との結婚を強要してくるのだ。一人前の庭師になれないことは分かっていても、庭仕事をしながら今の家族と生きていきたい。そんな風に考えるセッケムにとって、父の行動は不安の種だった。
いずれ具体的な結婚相手が現われたら、自分は家を出てどこか遠くへ逃げなくてはならないのだろうか。そんな心配を抱えながら屋敷の庭で働いていたある日、ひょんなことから領主の客人である珍しい商人と知り合いになって……? 複数言語をめぐる女性達のファンタジー。

〈Trigger warning 事前警告〉
この小説には以下の表現が含まれます
家庭内暴力/強制的な薬物の投与/妊娠中の人物と胎児への暴力
女性差別/ろう者や手話、ろう文化に対する差別/身分差別/結婚の強要
(この記事に含まれる表現には下線を引いています)

以下、本文のサンプルです。冒頭の第一章1を全文掲載しています。
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『Final Fantasy XIV』途中までの感想

Twitterから離脱しました、ほしなみです。元気です。Mastodonにいますが、そもそもインターネットの海そのものから離脱気味です。
代わりに何をしているかというと、文フリの小説を書くはずが『Final Fantasy XIV』にはまりまして、毎日楽しくプレイしています(原稿も頑張るよ……)。

という訳でこの記事では『Final Fantasy XIV』の第二部「蒼天のイシュガルド」と第三部「紅蓮のリベレーター」の感想を書いておこうと思います。THE LODESTONEのこちらこちらに書いたものと全く同じですので、読みやすい方でお読み下さい。
記事の性質上ネタバレを多分に含みます。悪しからずご了承下さい。

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『わたしのことり』を書いて考えたことをいくつか

ちょっとこのWordPressに置く内容としてどうかなあ……!?っていう気持ちが今更湧いたので、くるっぷに移動しました。難しいね。

私の気持ちとしては真面目に考えたことだし、これはこれで……という感じなのだけど、テーマ的にはもう少し隠れた方が良いのかもしれぬ。難しいですね。

『とはずがたり』のこと

光文社古典新訳文庫から出ている、佐々木和歌子訳『とはずがたり』を読みました。かなり果敢な現代日本語訳だったのですが、現代語で感情移入しながら読める本になっていて、大変心揺さぶられる読書体験になりました。
『とはずがたり』は高校生の時に図書館で読んで以来、妙に記憶に残って(ある意味当然)、時折訳注を借りて走り読みしたりしていたのだけれど、こんな風に初めから終わりまで一気に読むというのは初めてでした。

余りに良かったので、勢いで講談社学術文庫の次田香澄『とはずがたり 全訳注』上下巻を買って読み比べたりとかしています。佐々木氏と次田氏とでは『とはずがたり』や後深草院二条に対する眼差しが少し異なっていて、そのズレも興味深いなあと思ったり……。

ということで、まとまらないけれど感想を書いてみたいと思います。

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香月美夜『本好きの下剋上』を読みました

沼に落ちたのが割と悔しいのですが、『本好きの下剋上』に嵌りました。
Kindle Unlimitedで第一部の漫画版を読んだ後に書籍版→未刊行部分をWeb版で読んだ、というような感じです。

読み終える前にTwitterやpixivで作品タグを覗いてしまうというヲタクゆえの悪癖のせいで、ラストを半ば知った状態で読んだのですが(ネタバレを一切見ずに読んだ人は「どうしてこうなった?」と感じるラストのような気がする)、それでも全く問題なく楽しめました。

以下ネタバレを織り交ぜつつ、つらつら感想を。フェルディナンドが良いキャラすぎて、彼のことばかり書いてしまいました。
最初は批判的な感想から始まりますが、ちゃんと褒めてます。今回の記事は気の狂っていない感想ですので安心してお読み頂けますよ!(?)

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