「賭」の勝敗 

  以前、このブログに「賭けの勝敗」という記事を投稿しました。CLAMP『東京BABYLON』と『X』で語られる星史郎と昴流の物語について、一読して分かりにくい部分を説明した記事……の筈だったのですが、読み直してみると上述の記事自体が分かりにくく、説明の足りない文章になっていましたので、ここに全面的に改稿したものを投稿します。

 もしお手元に『東京BABYLON』や『X』があるようでしたら、軽くで構いませんので、是非一度再読した上で本稿をお読み頂けたらと思います。
 お手元にない方に向けて、簡単に第一節で物語のあらましを書きました。不足の多い説明だとは思いますが、こちらをお読みになった上で記事の続きを読めば、何となく話にはついていけるかと思います。

 なお2024年夏頃には、この記事と、これの続きでもある「最期の言葉」、その他いくつかの文章を書き下ろして、CLAMP作品批評同人誌として本の形にできたらと思っています。Blueskyやこちらでもアナウンスする予定ですので、ご興味のある方は是非に。

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『魔道祖師』・『陳情令』の固有名詞から中国古典を辿る①姑蘇藍氏

『魔道祖師』・『陳情令』の人物名や剣名は、本人や持ち主の性格、人生、運命などを象徴している場合が多く、物語的に非常に含みのあるものだ、という意見をTwitterなどで度々目にします。また、それらが様々な典拠を持ち、作品世界に厚みを持たせている、とも。

せっかく『陳情令』で沼ぽちゃした身ですし、日本語訳版『魔道祖師』読者の平均よりは中国古典に詳しいと思いますので、作中の固有名詞から中国古典を辿る記事を書いてみようかと思い立ちました。
(中国語圏で既に似たような、そして更に高精度の記事がありそうに思いますが、まあ良いのです。私が勉強と楽しみの為に書いています。)

今回扱う語は、作中の人名・アイテム名・地名、その他作中で特異な言い回しがなされている言葉です。人名には字や号を含めます。
この記事では由来や典拠を探りつつ、その語が古典世界でどのような印象をもって使われている言葉なのか、直接的な語義の他にコノテーションにも注目して調べてみたいと思います。

今回はひとまず姑蘇藍氏に絞って記事を書……こうとしています(調べ物が多すぎて、工事中だけど公開することにしました)。調べ物が順調に進めば、二回、三回と続けていきたいと思っています……(がんばる)。

以下に続きます。
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