『夕炎の人』落ち穂拾い

11/11の文学フリマ東京37、お疲れ様でした&ありがとうございました。
久しぶりの即売会参加でドキドキもしていたのですが、おかげさまでつつがなく終えることができました。

当日、スペースに来て下さった皆様ありがとうございました。周囲のサークルさんと比べて「どんな小説書いているかちょっと良く分からんな」って感じのところなのに(これは卑下ではなくて実際にそうなんですよ……)、立ち止まってくださる方がちらほらといるというのは嬉しいものです。
差し入れを下さった方もありがとうございました。美味しくもぐもぐしております。

さて、『夕炎の人』というやっぱりまた良く分からない本を作って刷ってしまいました。一言で「こういう小説です!」と言えないものばかりを作っている気がします。
ちょっと落ち穂拾い的なことを書いておくのも良いかしらと思ったので、ここにまとめました。要するに作者の力量不足の言い訳ですね。言い訳するのは格好悪いことなのだけれど、言い訳しないと本人も忘れていくので、言い訳をするだけした方が良いかもしれないなあ、なんて思ったので書いてみます。

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文フリ新刊『夕炎の人』サンプル

こんにちは、ほしなみです。
突然ですが、11月11日(土)に開催される文学フリマ東京37に出店します!久しぶりの即売会参加です。
スペースはき-13「星槎渡河」です。この記事で冒頭を載せている新刊『夕炎の人』の他、既刊三種を用意してお待ちしています(既刊サンプルはこちら)。

『星槎渡河』発行の同人誌の他、来年発行予定の「宇月原晴明デビュー二十五周年記念本」のフライヤーを持って行きます!美麗イラストを使った素敵なフライヤーですので、宇月原作品がお好きな方、興味ある方、是非是非お立ち寄りください。
なお、この記念本には私も寄稿させていただきました。豪華で素敵な本になる予定ですので、来年を楽しみにしていて下さい!

2023年11月11日の文学フリマ東京で発売予定の、同人誌『夕炎の人』の書影。水彩画風の真っ赤な夕焼けのイラストの右上に、縦書きで書題が書かれている。『夕炎の人』・文庫版・352ページ・800円

〈あらすじ〉
領主の屋敷の庭師であるセッケムは、最近あることに悩んでいる。父親が「声の男」との結婚を強要してくるのだ。一人前の庭師になれないことは分かっていても、庭仕事をしながら今の家族と生きていきたい。そんな風に考えるセッケムにとって、父の行動は不安の種だった。
いずれ具体的な結婚相手が現われたら、自分は家を出てどこか遠くへ逃げなくてはならないのだろうか。そんな心配を抱えながら屋敷の庭で働いていたある日、ひょんなことから領主の客人である珍しい商人と知り合いになって……? 複数言語をめぐる女性達のファンタジー。

〈Trigger warning 事前警告〉
この小説には以下の表現が含まれます
家庭内暴力/強制的な薬物の投与/妊娠中の人物と胎児への暴力
女性差別/ろう者や手話、ろう文化に対する差別/身分差別/結婚の強要
(この記事に含まれる表現には下線を引いています)

以下、本文のサンプルです。冒頭の第一章1を全文掲載しています。
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楽土の幻

2014年に史文庫~ふひとふみくら~の唐橋史さん主催で発行された『日本史C』というアンソロジーがあったのですが、そちらに寄稿した小説です。Web再録的な感じでこちらに格納します。

~登場人物と少しの補足~
中臣鎌子……中臣鎌足のこと。作中で改名しています。彼が鹿島の神官の子であるというのは『大鏡』などに見える伝説です。

軽皇子……後の孝徳天皇。中大兄皇子の叔父に当たります。

中臣真人……鎌足の長男。出家して定慧と名乗ります。今作では、彼が上宮王家(聖徳太子の一族)の生き残り、弓削王であるというフィクションを展開してます。彼の

出家と渡唐については、その年齢も併せて謎が多いです。

中臣史……後の藤原不比等。彼が中大兄皇子とその同母妹の間人皇女の子であるという設定はフィクションですが、藤原不比等は中大兄皇子の落胤ではないかという伝説は様々な史料に登場します。

伝説に基づいたフィクション多めの小説ですが、お楽しみ頂ければ幸いです。

 

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