阿選の折句

Twitterで『十二国記』を題材に短歌を詠まれる方々がいて、常々素敵だなあと思って鑑賞しています。
短歌を作る人に長年憧れがあるのですが、いつも作っては「これ、私向きの様式じゃないな……」と思って諦める事を繰り返しています。でも鑑賞は楽しくて、いつも「十二国記短歌」のタグを楽しく眺めている。二次創作短歌っていう世界自体、とても興味深いし。

私は自分で短歌を作ることについてはいずさ(仙台弁)を感じてしまう訳ですが、あいださん(@9mor1)という十二国記短歌を折々投稿されている方が「折句どうですか」とおっしゃっていて、折句なら作れそう、と思ってたまに作っています。

折句はあいうえお作文みたいな感じで、五七五七七、それぞれの句の先頭の文字を繋げると一つの言葉になるというもの。二次創作ですから、これを作品のキャラクターとか固有名詞でやってみる、という感じ。私は阿選でしか作っていませんが()色々なフレーズで楽しめる良さがあるなあと思います。
あいださん曰く、折句は呪術っぽいし、折句は愛を捧げる行為、とのこと。作っていると何だか分かるなあと感じます。キャラクターへの愛情と、言葉選びの試行錯誤が噛み合うというか。

以下、備忘録的に作った折句を格納しておきます。たまに増えるかも。
改めて眺めてみると、く、暗い……!

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オマージュであるが故の辛さ――綾辻行人『暗黒館の殺人』感想

今年の春先にTwitterで騒いでいましたが、綾辻行人の『館シリーズ』を読みました。ヲタク世界に足を踏み入れたきっかけは講談社ノベルスだった(はやみねかおる『虹北恭助シリーズ』から入って、文庫版のCLAMPの挿絵を手掛かりに田中芳樹を読むようになり、そこから小野不由美へと広がり……ってな小学五年生であった)ので、何だかこう、ホームグラウンドよただいま戻りました感に浸りながら楽しく読んでいたのです……が。
『人形館の殺人』辺りから「ん????」となり、『暗黒館の殺人』で無事目を焼かれましたとさ。あー……。
江戸川乱歩『孤島の鬼』が以前から好きだったので、『暗黒館の殺人』は二重三重にヲタク的なぱっしょんが爆発する読書になってしまいました。
以下ネタバレ交えつつ好き勝手に感想を書いてみました。(リアルタイムに書いていたんだけれど、納得いかずに書いたり消したりしていたもので)

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十二国記人名元ネタまとめ、全て終わりました

Privatterの方でちまちま更新していた、十二国記の人名元ネタまとめ、全ての元ネタを表記し終えました。「Ⅰ」は全てに書き下し文と現代日本語訳をつけています。以下のリンク、もしくはこのWordPressのLinkから飛べます。

【十二国記】登場人物名の元ネタまとめⅠ
【十二国記】登場人物名の元ネタまとめⅡ

まだまだ誤字があると思いますし、特に鄷都の出典として『酉陽雑俎』を上げていたのですが、京都大学の人文科学研究所が『真誥』の訳注を出しており、それのpdfが無料で見られるので(凄いことですよこれは……)、そちらからの引用に差し替えたいなあ……と思っているところです……が、そのpdfが文字データではないっぽいので、ちょっとやる気が出ないことには……という感じ。
それはそれとして、ひとまずどの項目も完了しています(実は黄姑の出典二つ目が未完了ですが、もうこれ勘弁していただけると嬉しい)。

以下だらだらと。

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日本社会の加害者性とメトニミー――『月に吠えらんねえ』を読んで

清家雪子『月に吠えらんねえ』を読みました。凄まじい作品だった。
Twitterでも散々呟いているのですが、思った事は大きく三つ。

1.虐待の被害者でありサバイバーでもあり、同時に虐待の加害者・再生産者でもあった萩原朔太郎を、被害者・サバイバーとしての姿で(加害者性を無理なく排除した形で)救ってくれる奇跡の様な作品だった。

2.近代日本文学に於ける第二次大戦とは何なのか考えさせられる。また、近代日本文学を遺産として受け継ぐ現代日本人は、戦争礼賛=悪、戦争反対=善、という図式を問い直せるような社会を構築する義務があると思った。大政翼賛的な作品を作家の事績や全集から抹消する事は全く善ではない。しかし、それについて捉え直しや語り直しを行うには、まずはこの現代社会自体から見つめ直し、構築し直さなくてはならない、と感じた。

3.前述の1と2にも密接に関わるが、作家の人生に逆らう様な物語や、実際の作家が身を置いた環境には起こりえなかったifのエピソードを描き、それによって救済や社会への問い掛けといったものを描くといった点から、擬人化でしか到達出来ない境地を切り拓いた作品だった。

1と3については割とTwitterで叫びまくったので、2についてここで書いておきたいと思います(実を言うと1についても、萩原葉子の父としての萩原朔太郎という点から、あれこれ書きたいなあとも思うのですが、ひとまずそれは余力があれば、という事で……)。

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遙か7の「義」とは何か?――命よりも価値あるもの

『遙かなる時空の中で7』の中で語られる「義」って何なんだろう、ということについて書きました。『戦国無双2』の「義」をブラッシュアップしたものであると同時に、『遙か7』の幸村ルートをより良く解釈する為のキーワードでもあると思います。そしてまた、『遙か7』の物語が私達プレイヤーに訴えてくる一つの思想にも、深く関わってくる言葉です。

全ルート開封済みの人間が書いています。
具体的には幸村・兼続・五月ルートのネタバレががっつり出て来ます。割と幸村ルートがトゥルー、みたいな意識で書いているので、そこにもやっとする人がいるかもしれません。ごめん。

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遙か7をプレイしています

遙か7をプレイしています。これを書いている時点では、兼続・大和・阿国ルートを開封済み。
ちょっと余りにこのゲーム、色々な事を語らねばならない(義務感)。名作なのだけど、単に名作ってだけじゃなくて、中学生の頃から好きなコーエーという会社の出している歴史ゲーム、そしてネオロマンスというものに対して改めて色々考えさせられる作品だなと感じています。

具体的に言うと、『戦国無双2』をヲタクの一里塚と思っている人間にとって、遙か7はこの上なく嬉しい要素に溢れ、同時に地獄のような悲しみ渦巻くゲームになっているのです。死んだよ僕は……。

以下ネタバレありつつ語っています(あんまりルートの感想って感じではないです)。

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最近頑張っているヲタク活動

余りにタイトルが直球ですが。
このページの右側にもリンクを貼っていますが、Privatterの方で、小野不由美『十二国記』シリーズの考察と情報整理みたいな事をしています。
またその一環として、『十二国記』に登場するキャラクターの人名の元ネタを洗い出す作業というのをやっています。

出典が明瞭なものがこちら
出典が不明瞭だが熟語として使用されている語はこちら

という感じで、割と頑張って漢文を読んでいます……。そういえば大学での専門はそんな感じでしたねという。調べて初めて分かる事も多く、大変ですがやってみて良かったなあと思っています。

二次創作小説は、世の中がこんななせいか、気持ちの上で小説を書ける気分ではなかったりして停滞中……。ま、のんびり頑張ります。印刷所がピンチなら『無明長夜』を増刷するのもアリかなあ……。

CLAMP作品にせよ十二国記にせよ、自分のこういう情報整理、内容考察(考察っていう言葉が余り好きではないのですが、他に良い言葉がない……)を紙媒体にいつかまとめたいなあ、とは思うもののなかなか難しいですね。

ところでPrivattterがサービスとして優秀すぎてちょっと驚愕している。ここのページ要らないのでは……(そこまで言う?)

『無明長夜』あとがきに代えて――阿選と不条理文学

今日の十二花脣の大陸、当スペースに来て下さった皆様ありがとうございました。
二次創作同人誌って初めてだったのと、ティアや文フリの様なスローペース?な一時創作畑に慣れていたので、部数やら売れるペースやらが違いすぎて始終わたわたしておりました……。

差し入れもありがとうございます、美味しく頂きます!

はてさて、本を無事ヲタクの世界に送り出すことが出来ましたので、少し「補足しておきたいなあ」と思った事を書こうと思います。
あとがきを書くのは苦手なので書かないのですが(ヲタクの繰り言になるだけな気がして)、今回は二次創作という以外にも他人の褌で相撲を取った処も大いにありますので……(読んだ方は多分分かると思います)。

以降、同人誌のちょっとしたネタバレになりますので、『無明長夜』読後にお読み下さい。

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