第三巻・第四巻の感想です。ネタバレそのものになります。ふせったーで呟いた事と被ります。凄く長いです。
一言だけ。
もしかして、『図南の翼』以外の全ての長編にご出演なのでは???(某キャラと某キャラ)
興奮ゆえまとまりませんが、単なる感想をまずは……。
・驍宗様、これはゴリラと言われても致し方ないチートっぷり…。いくら天意が味方したとはいえ、流石に笑った(ごめん)
・一巻二巻を読んだ時、実は一瞬その可能性が頭をよぎったのですが、「流石にないやろ」と思っていたので、文章の厚みで説得力持たせると「ないやろ」が「あるある」になるのか…と謎の感慨深さを噛み締めた(負け惜しみじゃないからね!!笑)
・なので、捕まった時も「まあ大丈夫っしょこっちは(こっちは)」と思った。どちらかというと、絶望した泰麒が自刎して、驍宗も結果的に死ぬことになるという展開を恐れました。
・泰麒がどこまでも麒麟の限界を超えようとしていて胸が痛んだ……。叩頭するシーンとか、マジでやめて!!!やめてー!!!!って感じで、広瀬のことを思い出すシーンよりも、こっち系(殺傷や無理な叩頭)の方が『魔性の子』の地続きという感じがして辛かった……。
・泰麒がやわやわしてない、硬質かつ手の内を見せないキャラクターとして描かれているのが割と面白いな、と。もちろん『魔性の子』の延長にあるキャラクターですが、『魔性の子』ではどちらかというと内向的・厭世的な印象があった。『白銀の墟 玄の月』でその印象がまた変わったので、これは彼自身の成長という事なのでしょうね。
・李斎の忠義と献身に、改めて凄まじいものを感じた。李斎の忠義というものの一番根っこにあるものは何なのかと考えると、戴という国やそこに住む人々への愛情、そしてそれらの象徴としての泰麒への愛情、また泰麒――高里要という人への、人間的な親愛の情なのかな、と思う。単なる忠心ではないというか。驍宗という人への忠義とは違うものを彼女はもっていて、むしろそこから出発して驍宗への忠義に至っているような、そんな心理構造なのかなあと思った。
・驍宗のみを王と戴く意志がある者は多けれど、泰麒を助け出したのは李斎だけなんだよなあ、って思うと、李斎にとっての泰麒、李斎にとっての戴国というのが何なのかが分かるような気がします。泰麒には李斎が必要だし、驍宗にも李斎が必要だよ……。
・何だろうな、李斎という人の持つ情熱というか、情念というか……李斎の芯の部分の尊さをじわーっ……と感じる小説だったなあ。がむしゃらに前に進む強さも、たとえ一時絶望しても立ち直る強さも、人を信じる強さも、あの「強さ」は全部、愛情から来てるって気がします……。
・阿選のことを書きたいのだけど、簡単には言葉に出来ない事柄が余りに多い。私がTwitterで言っていたのは、月渓と斡由のハイブリッドというか、ブレンドというか、そういう感じの内面を持つキャラクターだったなあということ。
・私は今回、第三巻・第四巻で内面が描かれたことで、彼のことがぐっと好きになれました。彼が自らの築き上げたものを破壊するような選択しか出来なくなってゆくこと、それと対照的に、彼の麾下だった人々が、真っ当な道を歩もうとし、またそれが阿選の為になる選択だと信じようとすること、この二つが交互に出て来るのが、読んでいて非常に辛かった……。
・特に私がショックだったのは、帰泉と恵棟。帰泉は、傀儡になった際の内面の描かれ方が兎に角読んでいてしんどかった。恵棟は、正に阿選がそれを選択したという事が辛く、またあの呪符のシーンを境に、泰麒の心に罅が入り、状況的にも精神的にも劣勢に追い込まれるというのが辛かった。特に恵棟はキャラクターとして非常にこう……共感というのかな、読者に丁度良い視座を提供することで、読者と一体感が出るキャラクターだった気がするので(飽くまでも私は、ですが)、ああいうことになって非常にショックだった……。
阿選の心理?については(ふせったーにもあれこれ書いたのですが)追って色々と書きたいし、今度出そうと思っている同人誌にも何かしら書きたいなあ…と思ってます(予定は未定)。
・項梁が泰麒に殺し(?)を指南するシーンが個人的にぐっと来てます。
・正頼と会った時、泰麒が非常に珍しく……というか、例外的な取り乱し方をしていて、あれは胸が詰まった……。策を放り出しても助けたいと思うのは、彼が麒麟だからというより、彼にとっての戴での「日常」の思い出は、常に正頼と共にあったからなのだろうなあ……。正頼が、ラストで冢宰ではなく台輔と一緒が良いと言っているのもぐっと来る。二人の間には、余り描かれてないけれど特別な絆があるんだね……って。
・琅燦については短編で拾遺があるのだろうかね。耶利の主公が彼女では、という推理は当たってたみたいで良かった良かった。
・琅燦は琅燦なりに色々と事情がありそうな気はしますね。というか、ぶっちゃけ更夜と繋がってるのでは?という疑いが頭から離れないのですが。もしくは、天と。
・直接的な言及はないですが、彼女が玄管であり、耶利が飛ばしていた青鳥は玄管から誰か宛ての連絡ですよね、たぶん。
・さらっと西王母に二回目のお祓いしてもらっているのは笑った。
・英章が本当に泣き崩れたのかどうかというところは、是非とも二次創作が生まれて欲しいポイントだなあと思う。英章は今回の最萌えキャラだよね……。ヲタクへの訴求力が高いです。
・巌趙、どうなったのかなあ……。
・項梁、園糸と家庭を築いて欲しい。お願いだ。
・延主従が最後に出張って来て笑ってしまった。彼等が出て来ると非常に安心感ある……。
ここから考察方面の感想ターン。まだちょっとまとまりに欠けてますが……。
・戴に妖魔が出現するのは、偽王の存在そのものに加え、妖魔を使役した事が理由ということになるのかな?だとしたら、柳は……?
・黄海由来のあれやこれやの輪郭が、僅かながら見えてきた気がする。もしかしてこれが更夜のやりたいことだったのかも、と。戸籍を持たぬ民が、人間同士の繋がりと、黄海を由来とする様々な知識・技能によって結束し連携する。国土はないけれどネットワークを持つ。そういう生き方もあるよね、と。
・戴の宗教組織のパワーを感じる小説だったけど、所謂「道教」が崑崙から持ち込まれたのか、それとも道観で伝えられている教えは「道教」とはまた違うものなのか、その辺りが気になりました。仏教は明確に崑崙から伝わった記述があったけれども。
・天意に弓引く編は無いんですか?という疑問が胸に微妙にしこりを残すなあ……。いや、安易に天を敵として人間が戦うとかいうのは安っぽいから嫌なので、これはこれで全然OKなのですが。世界の摂理と秩序の由来を探る的な話には今後ならないんだろうか。
・と思いつつ、長編はこれで最後なのかな?とも思ったりするしのう……。
・博牛という人を、何故あれだけ詳細に描写したのか非常に引っかかっている。私が読み飛ばしているだけで、彼も何か重要な役割を果たした……っけ?それとも、どちらかというとあの村を描写したかったのだろうか。(要検証)
・宝重って各国様々なのだと思ってたし、恐らくそうなのだけれど、「王(や麒麟)の命をつなぐ」ものが必ず一つはあるっていう設定なのですね。そこらへん割と興味深かった。
・琅燦や耶利については色々考えるけど、憶測の域を出ないなあ……。
阿選については次の記事で。