『Final Fantasy XIV』途中までの感想

Twitterから離脱しました、ほしなみです。元気です。Mastodonにいますが、そもそもインターネットの海そのものから離脱気味です。
代わりに何をしているかというと、文フリの小説を書くはずが『Final Fantasy XIV』にはまりまして、毎日楽しくプレイしています(原稿も頑張るよ……)。

という訳でこの記事では『Final Fantasy XIV』の第二部「蒼天のイシュガルド」と第三部「紅蓮のリベレーター」の感想を書いておこうと思います。THE LODESTONEのこちらこちらに書いたものと全く同じですので、読みやすい方でお読み下さい。
記事の性質上ネタバレを多分に含みます。悪しからずご了承下さい。

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香月美夜『本好きの下剋上』を読みました

沼に落ちたのが割と悔しいのですが、『本好きの下剋上』に嵌りました。
Kindle Unlimitedで第一部の漫画版を読んだ後に書籍版→未刊行部分をWeb版で読んだ、というような感じです。

読み終える前にTwitterやpixivで作品タグを覗いてしまうというヲタクゆえの悪癖のせいで、ラストを半ば知った状態で読んだのですが(ネタバレを一切見ずに読んだ人は「どうしてこうなった?」と感じるラストのような気がする)、それでも全く問題なく楽しめました。

以下ネタバレを織り交ぜつつ、つらつら感想を。フェルディナンドが良いキャラすぎて、彼のことばかり書いてしまいました。
最初は批判的な感想から始まりますが、ちゃんと褒めてます。今回の記事は気の狂っていない感想ですので安心してお読み頂けますよ!(?)

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この世の全ての傷口に花を捧げよ――髙村薫『李歐』感想

ああ、どうしてこんなに私は揺さぶられながら、この小説の感想を書く為に奔走しているんだろう。もう二ヶ月近く経った。この本を読んでから、ずっとずっとこの本のことを考えている気がする。理由の一つは同性同士の恋愛とロマンティックラブイデオロギーの関係について考えたから。そしてもう一つは、22年2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻したから、だと思う。多分。

何のことを話しているの? っていう声が聞こえる気がする。あなた、99年に書かれた小説の話をしているんじゃないの? って。

そうなの。そうなのだけれど、これは冷戦の物語なの。帝国主義が奴隷貿易という悪夢の続きであったように、冷戦も帝国主義と植民地政策という悪夢の続きだった、そのことを描いている物語なの。

そう言って即座に納得して貰えるかと言われると、自信がない。そう言われても、って顔をされそうだ。
――だったら、ねえ聞いて、私が考えていること。私が揺さぶられている理由を。長くなるけど、ちょっと我慢してね。

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君子であれ、祈られる者であれ――『陳情令』の極端な感想

『陳情令』を見ました。『魔道祖師』を先に読んでいた分、原作とドラマ版との相違に目を留めながら鑑賞したような気がします。

色々と違いがあって、私個人としては『陳情令』の方が好きだなあというのが正直なところです。でも本当にその辺りは個々人の好みだし、表現規制ゆえにこういう物語になっている部分が『陳情令』には大いにあるから、その点をどのように考えるかにもよると思います。

さて、その原作とドラマ版との違いで私が一番目を剝いたというか、胸を衝かれたものに、ドラマ版50話の金光瑤の最期があります。
原作だと彼は義兄である藍曦臣に何も言わず、道連れにするかと思わせて最後には彼を突き放すのだけれど、ドラマ版では藍曦臣に対して「你陪我一塊儿死吧」(日本語字幕「一緒に死んでください」)と言う。藍曦臣もそれに肯う素振りを見せるのだけれど、最終的には金光瑤が兄を突き放す。

このシーンがとても衝撃的で(私が好きそうなシーンだなって、私を良く知っている方は感じると思います……笑)、見て以来ずっとこの二人について考えています。
以下でその辺りを整理した上で考えを書いてみたので、もし良ければお読み下さい。『陳情令』準拠であれこれ考えています。すごい長いです。

※中文は全て繁体字表記です。
(上記の台詞の儿って繁体字にするとおかしい気がして、これだけ簡体字です……)

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この愛情に名前は付けない――『天山の巫女ソニン』感想

菅野雪虫『天山の巫女ソニン』1~5巻を読みました。外伝が2巻ほどあるようですが、ひとまず本編を読み終えたということで。

読んで「!」となった小説はなるべく感想を書くことにしているのですが、今回はどう感想を書けば良いか迷います。ソニンやイウォル、ミン、クワン、イェラの成長が瑞々しい物語なのですが、心動かされたポイントは必ずしもそこだけではなく……。
ということでつらつらと考えながら感想を書きました。以下ネタバレがありますのでお気を付け下さい。

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朔太郎の担う両義性――虐待の被害と加害、そして救済

書こう書こうと思って書いていなかった、萩原朔太郎の前半生の救済作としての『月に吠えらんねえ』について書きました。

後半生は娘の萩原葉子さんの作品によって赦された朔太郎なのではないかな、と思います。では前半生は?というような内容です。

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オマージュであるが故の辛さ――綾辻行人『暗黒館の殺人』感想

今年の春先にTwitterで騒いでいましたが、綾辻行人の『館シリーズ』を読みました。ヲタク世界に足を踏み入れたきっかけは講談社ノベルスだった(はやみねかおる『虹北恭助シリーズ』から入って、文庫版のCLAMPの挿絵を手掛かりに田中芳樹を読むようになり、そこから小野不由美へと広がり……ってな小学五年生であった)ので、何だかこう、ホームグラウンドよただいま戻りました感に浸りながら楽しく読んでいたのです……が。
『人形館の殺人』辺りから「ん????」となり、『暗黒館の殺人』で無事目を焼かれましたとさ。あー……。
江戸川乱歩『孤島の鬼』が以前から好きだったので、『暗黒館の殺人』は二重三重にヲタク的なぱっしょんが爆発する読書になってしまいました。
以下ネタバレ交えつつ好き勝手に感想を書いてみました。(リアルタイムに書いていたんだけれど、納得いかずに書いたり消したりしていたもので)

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カミュ『異邦人』整理

カミュ『異邦人』は私の愛読書にして座右の書の一つですが、母に『異邦人』をプレゼンする為に書いたものが出てきたので、整形して載せます。

新潮文庫版は読みにくいことこの上ないので、高いですが是非、柳沢文昭訳『フランス語で読もう「異邦人」』(第三書房)で読んでみてください!対訳版の日本語の方が絶対読みやすい。

『カリギュラ』についても何かしら整理して載せたいなあ。

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